任意整理を選択
ここでは、弁護士に相談したあと任意整理を選択した場合の想定で話を進めていきます。
任意整理の一番の目的は、出資法ではなく利息制限法に基づいた本来あるべき姿に戻すことが目的です。少し難しく聞こえるとは思いますが、任意整理を選ぶなら、必ず知っておかなければならないことなのです
出資法改正について
・出資法改正によって、グレーゾーン金利はほぼ無くなり、現在、金利20%以上の金利は一部を除いて、ほとんどが刑事罰対象となるのです。(平成22年6月18日以降)
なので、消費者ローンで新規契約では現在20%以下になっています。20%以上は出資法にも利息制限法にも違反していることになります。(一部条件を除く)
出資法改正前でも
改正前でも、ほとんどの消費者金融のローンが利息制限法に抵触しており、交渉をすれば、任意整理にすんなり応じていました。改正前でも、任意整理は、債務減額に有効な手段だったのです。ちなみに、任意整理後は、ブラックリストに載るなどのデメリットがあります。
出資法と利息制限法
出資法とは
正式名称「出資の受け入れ、預かり金及び金利の取締りに関する法律」と呼びます。これはもともと戦後、法外な高利貸し業者が横行していたため、それを規制するために作られた法律でした。過剰な取立てや法外な金利に歯止めをかけたのです。施行当初の上限金利は、それでも今では考えられない金利です。私個人としては、これで規制しているのかな?という感じです(笑)
▼金銭の貸付を業として行う場合の上限金利の推移▼
利息制限法とは
利息制限法は民事上の紛争解決を目的とした法律であり、もともと、家賃等の不動産貸借間での紛争解決に用いられていた法律です。最初に払う、敷金の礼金・手数料などの一部は預かり金に対する金利とみなされ、家主は法外な金利を借主に請求させないようにする為にできた法律です。なので、金利の上限が20%以下となっています。
現在では、金融機関の貸付の基準となっていますが、、「契約自由の原則」に基づき利息制限法を超える金利の契約を禁止するような考え方は持っていません。罰則事項は、出資法にだけ罰則があります。
国会でもその点が、議論や答弁がされましたが、利息制限法は、あえて記述されていないのです。
20%を超える金利は裁判上認めていないと規定するだけ。なので、裁判所は認めていないが、債務者が任意で払った金利に関してはそれを認める。という判例もあるようです。いわゆる”みなし弁済”です。
先に述べた、出資法は刑事上の債権者への規制を施しているのに対し、利息制限法は民事上の債務者保護に重点を置いた法律であるということです。
また、出資法は、刑事事件ですので、見つかれば即 刑事罰対象になりますが、利息制限法は、民事事件ですので、債務者が訴えを起こしたり、示談交渉をしない限りは、債権者が金利の見直しをする義務は生じません。ここが、利息制限法と出資法の大きな違いなのです。
出資法 |
・債権者への規制 |
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利息制限法 |
・債務者の保護 |
現在、日本では、金利に関する法律が2つあり、矛盾が生じているのも事実です。
どちらか一つにすれば良いのですが、出資法の歴史が長いこともあり、なかなか一つにできないのもあるようです。ただ、法解釈はあやふやですが、利息制限法に重点をおいた感じになりつつあるのも事実なのです。これをうまく使うことで、債務者の利益になるならば、それはそれで良いと私は思います。